イルカの声は超音波?人間に聞こえない会話術

こんにちは、サイレントプロバイダー担当のMです。

先日、水族館でイルカショーを観に行きました。飼育員さんがホイッスルを吹くと、合図に合わせてイルカが一斉にジャンプする姿は圧巻でした。そのときに使われていたホイッスルは、通常のものよりも高音に感じられました。ふと「イルカは高い音が好きなのだろうか?」という疑問が浮かびました。

今回は、イルカがどのような音を聞き取れるのか、そして仲間同士でどのように会話をしているのかについて、周波数の観点も含めてご紹介いたします。

イルカの耳と聴覚の特徴

イルカには人間のような外耳がなく、代わりに頭部の「下顎」を通じて音を感じ取ります。下顎には脂肪が詰まっており、水中で伝わってきた音波を効率よく内耳に伝える仕組みを持っています。この構造は、空気中で鼓膜を使って音を拾う人間とは大きく異なり、水中生活に特化した仕組みといえるでしょう。

人間の可聴範囲は約20Hz~20kHzですが、イルカは約1kHz~150kHzまでを感知できるといわれています。特に100kHzを超える高周波音に敏感で、これは「超音波領域」と呼ばれます。このように広い音域を持つことで、水中での生活や狩りに役立っているのです。

イルカのエコーロケーション(反響定位)

イルカの代表的な能力として知られるのが「エコーロケーション」です。
イルカはクリック音と呼ばれる短い超音波を発し、その反射音から周囲の環境を認識します。例えば、獲物の位置や大きさ、形状、さらには表面の性質まで把握できると考えられています。

この能力は水中の“レーダー”ともいえ、人間が目で物を見分けるように、イルカは音を使って世界を認識しています。暗い海中や視界が濁った状況でも、エコーロケーションによって正確に周囲を把握することができるのです。

イルカ同士の会話方法

イルカ同士の会話では、主に次の2種類の音が使われます。

➀クリック音:パチパチとした短い音。エコーロケーションだけでなく、仲間との位置確認にも使われます。

➁ホイッスル音:長く伸びる笛のような音で、個体ごとに特徴的な「シグネチャーホイッスル」を持っています。これは「名前」のような役割を果たし、仲間を呼んだり自分を示したりすると考えられています。

水中では音の伝わる速さが空気中の約4倍(1,500m/秒ほど)あるため、広い海でも効率的にコミュニケーションをとることができます。

水中で音が伝わる仕組み

水中では音が空気中よりも速く、遠くまで伝わります。空気中での音速は約340m/秒ですが、水中では約1,500m/秒に達します。そのため、イルカは広い範囲で仲間と効率よくコミュニケーションを取ることができるのです。

一方で、人間の耳は水中での音の方向や距離を判断することが苦手です。そのため、水中で聞こえるイルカの音は「どこから来ているのか分からない」と感じることも多いのです。特殊な録音機器を用いることで、ようやく彼らの会話を明確にとらえることができます。

イルカは高い音が好きなのか?

冒頭で触れた水族館のホイッスルが高音であった理由も、イルカの聴覚特性にあります。イルカは高周波の音に敏感であるため、人間の耳には少し耳障りに感じる高音域のホイッスルが、イルカにとっては明確な合図として届きやすいのです。

つまり、イルカが「高い音が好き」というわけではなく、「高い音を感知しやすい能力を持っている」ために、調教やトレーニングでその特性を活かしているということになります。

 

今回は、イルカがどのような音を聞き取り、仲間と会話しているのかをご紹介いたしました。弊社では、音の種類や周波数に応じた防音対策をご提案しております。現場調査や音響測定も承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

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