こんにちは。サイレントプロバイダーのMです。
前回は、生き物が「振動を感じる」ところから始まり、
魚類、そして陸に上がった生き物たちが、
少しずつ「音を聞く耳」を進化させてきたお話をしました。
ではその先――
人類の耳は、どのように進化してきたのでしょうか。
今回は、「人類の耳」と「聞こえ方の変化」に注目してみたいと思います。
人類の進化と、耳のはじまり
人類の祖先は、いきなり今の人間の姿になったわけではありません。
最初の人類とされるサヘラントロプス・チャデンシス(約700万年前)をはじめ、
アルディピテクス・ラミダス
アウストラロピテクス・アファレンシス
といった初期人類は、まだ森林や草原での生活が中心でした。

この頃の耳は、すでに哺乳類としての基本的な構造を持っており、
・外敵の気配
・仲間の動き
・周囲の環境音
を聞き分けるために使われていたと考えられています。
「音の範囲」よりも「音の使い方」が変わった
ここでひとつ、意外な事実があります。
実は、人類の進化の中で、聞こえる周波数の範囲そのものは、それほど大きく変わっていないと考えられています。
現在の人間が聞き取れる音は、およそ 20Hz〜20,000Hz。初期の人類も、この範囲に近い音を聞いていた可能性が高いとされています。
では、何が変わったのでしょうか。

会話に適した「聞こえ方」への進化
変わったのは、どの音に、より敏感になったかです。
人類は進化の過程で、
・仲間と協力して狩りをする
・道具の使い方を伝える
・集団で生活する
ようになっていきました。これに伴い、声によるコミュニケーションが、生き残るためにとても重要になっていきます。
その結果、人類の耳は、
・人の声に含まれる音
・特に子音や抑揚といった、細かな違い
を、より聞き分けやすい方向へ進化していったと考えられています。
中高音に敏感な耳
現在の人間の耳は、2,000〜5,000Hz付近の音に、特に敏感です。
この音域には、
・話し声の子音(サ行・タ行など)
・子どもの声
・注意を促す声
が多く含まれています。
つまり私たちの耳は、「自然音」だけでなく、人と人とのやり取りに最適化された耳とも言えそうです。

現代人が「音に疲れやすい」理由
こうした進化のおかげで、私たちは微妙な音の違いにも気づけるようになりました。
その一方で、
・小さな物音が気になる
・静かな場所ほど音が際立つ
・高い音や機械音が不快に感じやすい
といったことも起こります。これは決して、耳が弱くなったからではありません。
むしろ、音から多くの情報を読み取れるほど、耳が進化してきた結果とも言えるのです。
進化した耳と、現代の音環境
人類の耳は、
・危険を察知し
・仲間と意思疎通をし
・生き延びるため
に進化してきました。
しかし現代の生活では、
進化の過程では想定されていなかった音
機械音や人工的な騒音に、長時間さらされることも少なくありません。
だからこそ、「完全な無音」ではなく、気にならない音環境を整えることが、
私たちの耳にとって大切なのかもしれません。