揚げ物の“ジュワッ”は美味しさの合図? ― 料理音が食欲を刺激する理由

こんにちは、今回はわたくしNが料理中に聞こえてくる音について、紹介させていただきます。

 

 

料理をしているときに耳に届く「ジュワッ」「ジュッ」「コトコト」。
この音があるだけで、食欲がグッと高まる気がしませんか?

実は料理音は、私たちの五感のひとつとして食欲を刺激する大切な要素。
今回はその中でも特に身近な「揚げ物のジュワッ」という音に注目してみましょう。

 

“ジュワッ”は水分と油の化学反応

揚げ物の音は、食材に含まれる水分が高温の油に触れ、一気に蒸発することで生まれます。温度が低いと音は弱く、高温すぎると水分が一瞬で飛びすぎて焦げやすくなる。

だからこそ、耳に心地よい“ジュワッ”という響きは、ちょうど良い温度と水分のバランスがとれている証拠なのです。


音が「美味しそう」と感じる心理

人間の脳は「音」と「味覚」を結びつけて記憶しています。

揚げ物のジュワッという音は、揚げたての香ばしさや湯気を連想させ、まだ口にしていないのに美味しそうと感じさせてしまうのです。これは「条件付け」と呼ばれる心理効果で、パブロフの犬と同じように、音を合図に体が自然と食欲を反応させていると言えます。

 

料理人は耳で仕上がりを判断する

熟練の料理人は、耳で揚げ物の状態を聞き分けています。食材の水分が抜けてくると、最初は力強い「ジュワッ」という音が響きますが、仕上がりに近づくにつれて「パチパチ」と軽やかな音に変わっていく。この音の移ろいこそが、揚げ上がりのサイン。温度計を使わずとも、耳を頼りに絶妙なタイミングを見極められるのです。



揚げ物だけじゃない“美味しい音”

料理の世界には、揚げ物以外にも食欲をそそる音がたくさんあります。網の上で肉汁が弾ける焼肉の「ジュッ」、グラスの中で泡がはじける炭酸の「シュワッ」、そして鍋の中で静かに煮込みが進む「コトコト」。どの音も、料理の香りや味を想像させ、耳から食欲を刺激してくれるのです。

 

揚げ物の“ジュワッ”は、ただの調理音ではありません。温度と水分の絶妙なバランスを教えてくれるサインであり、美味しさを思い出させる心理的なトリガーでもあり、さらには料理人の技を支える感覚のひとつでもあります。

料理は五感で味わうもの。その中で「音」は、思っている以上に私たちの食欲を左右しているのです。次に揚げ物をするときは、香りや見た目だけでなく、ぜひ耳を澄ませてみてください。

 

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